リンリリーン

風鈴があまり好きではない。いや、表現をやわらかくして自分を守るのはやめよう。僕は風鈴が嫌いだ。僕の目に触れる風鈴という風鈴の、風と鈴のあいだにある紐を、狙撃銃で打ち抜き、揺れる紐の付いた音の鳴らない逆さ器にしてまわりたい。

基本的に自分は周りの世界に無関心を装っている。本当は興味津々で、すべてのことを手中に収めたい、本気で世界を征服したいという気持ちもあるが、ちょっと難しいので今は保留している。手に入らないのであれば、壊す、ではなく意識の外に置く、というのが僕の中の優しい魔王の答えであり、世の中との関わり方なのですが、風鈴はそれを容易に乗り越えてくる。僕の世界に土足ならぬ涼しげな音で、ズカズカならぬリンリリーンと踏み込んでくる。なぜ誰かが涼しい気持ちになるために勝手に鳴らすその音を、僕が聞かなければならないのだろうか。涼しげのおすそ分けとでも思ってるのか。いらないからー!

何かを嫌うことはそれを好いてる人をも否定することになるので、なるべくしないようにしたいのだけど、どうやったら風鈴のこと好きになれるか、アタイ、わかんないよ! アイツの考えてることアタイぜんぜんわかんないよ。もぅどうしたらいいのぉーー