次回予告

201912130924

窓の外を流れる景色は平穏の色をしていた。

それらを全て置き去りにして、たくろうの乗る電車は混沌の渦へと向かう。足に巻き付いたのは鎖か、毒蛇か。戦慄の足音から身を遠ざけるのは、腕に残る微かな温もりだけだった。

次回「飲み会からの帰路」

ジャック・ローズは甘い罠

 

201912132202

「飲み会からの帰路」

咀嚼という行為が生への執着ならば、死を喰らうことに誰が目を瞑れるだろうか。創られた終焉を享受し、今日も身体の輪郭通り生ぬるい血を巡らせる。ここは今年を忘れる場所。

次回「罪咎」

今年は、まだ、終わらない。

 

201912162159

「罪咎」

南瓜の馬車に揺られる少女。

小人に囲まれる夢見人。

本を閉じれば終わる物語。

それなら、鉄の牢獄に揺られ、死人と共に詰め込まれた旅人の物語は、いったいどこで幕を下ろすのか。

次回「扉」

零時の鐘声は、ここには届かない。

 

201912192145

「扉」

‪吹き荒ぶ憎悪から、生まれたての感情を守るように固く閉ざされた扉。‬

‪その扉には鍵穴がない。あるのはただ風化した蝶番。‬

‪その扉にはノブがない。あるのはただ深淵を窺うのぞき穴。‬

‪ガシャリと閉まる音だけが重くどこまでも響く。ここはこの世で一番深い場所。‬

‪次回「原点」‬

‪開く音を聴く者は、もう…‬

 

201912272240

「原点」

‪生の起源である琥珀の光。死の結末である楔の黒風。発端と終局の繋がりは久遠に続く脅威の円環。極低温。そこでは全てが静止する。幾重もの透明な壁が吹き抜け、世界はじきに願いを閉ざす。たくろうは内に縮こまる以外に抗う術をしらなかった。‬

‪次回「シェルター」‬

‪吐く息の白と共に、全てが消えていく‬