トレーディングカードゲームしたことないけど

僕は基本スタンスとしてやりたいことはやればいいし、やりたくないことはやらなければいいと考えていて、それは世の中のみんながそのように生きられればいいなと思うし、世界中をハッピーにするために、僕は夜な夜な机に向かいたんせい込めて作ったふわふわキラキラのラッピングで地球をまるごと包みこみたいなと常日頃から考えているわけですが、そんな優しい心の持ち主の僕は電車で派手な花柄ワンピに身を包んだお年寄りには席を譲らないし、道に迷っていそうな裕福外国ファミリーを見かけても「Can I help you? 」とは決して声を掛けない。

いや、席は譲れよと思うかもしれないが、僕は譲らないぞ。これはアウトローなおれ格好いいという話ではないし、どうぞと声を掛ける勇気がないという話でもない。

もちろんめちゃめちゃ体調悪そうな人がいたら席譲るし声を掛けるし、必要であれば付き添って途中下車して駅員さんと一緒に介抱して感謝されるも身を明かさずにその場をさるけど住所が伝わり、素敵な食器セットが送られてきて、その相手のことをイオンさんと呼び始めるのだけど、エルメスじゃないのかよ! でもイオンの食器とか衣類とか結構安くて良い物が多いよ? 僕の着てる物は基本イオンかユニクロよ?

席の話に戻るけど、僕はその席に座るために最適な車両を調べ、時間を調整し、1回乗るのを見送ってやっとそこに座っているのだ。その辺も考慮して引っ越し先も検討するのだ。要するに本当にやりたいことがあるならそれのために全力を出せよ! と考える。本当に座りたいならそれだけのコストをかけなさいよと。

 

トメ62歳、ちょっと足腰が悪くてちょっとおちゃめな女の子。今日は40年ぶりに、かつて憧れていた人とのお茶会の約束。緊張でやっぱり中止してもらおうと何度も手紙を書きかけたけど、久しぶりに手に取ったお気に入りの真っ赤なルージュも勇気を出して買ったけど着ることがなかった花柄のワンピースも、今日はどれもキラキラと輝き私の背中を押してくれた。待ち合わせはふたりの思い出の喫茶店。彼はそこで『アタシ』の身に迫る宇宙からの侵略者〈スペースインベーダー〉を颯爽と名古屋撃ちで一掃してくれた。あのときの高得点は、今でも私の人生のハイスコアだ。思い出の土地へ私を運んでくれる電車は、人が多くて座れないけれど、今の私にはタイムマシンのようだった。そう、確かに私はあの時の『アタシ』になっていた。

 

そんでなんでそんなウキウキトメにコストかけまくったおれが席を譲らなきゃならんのよ。優先席に座りにいきなさいよ、通常席でも「すみませんが、この後あこがれの彼と会うために体力を温存しておきたく、席を譲っていただけませんでしょうか?」っていいなさいよ!

最初にいいたかったことからずれまくった。なのでやりたいことはやればいいし、やりたくないことはやらなくてよい。その結果、誰かの頭の中であいつは冷たいとか人としてどうなのかとかサイコパスだとか思われたとして、それが一体何だというのだ。気にすんな。

「自由」というデッキを自分の好きなカードで組むためには、コストがかかる。そのコストは、他人の目を気にせずに心のままに行動したときだけ増やすことが出来るのだから。